仕事紹介:地域コーディネーターについて
地域コーディネーターは、
いろんなものを結んで繋いで、
地域を元気にしていく仕事。
ちょっと長いですが、地域コーディネーターとはどんな仕事なのか、また何が楽しいのか、などにについて書いてます。よかった読んでみてください。
地域コーディネーターという仕事
地域コーディネーターという職業は、現在のところ確立された職業ではありませんが、地域資源を活用した新しいツーリズムやまちづくりの分野において、今、最も期待が寄せられている職業の一つです。しかし、コーディネーターのパーソナリティーや、人的ネットワークに依存している専門職であること、加えて職域が広すぎるため定義付けのしようがなく、また社長業に似た総合職であるため、人材育成におけるメソッドを確立することが大変難しい職業です。
地域コーディネーターの大まかなイメージとしては、地域に埋もれている様々な地域資源や、時代のニーズを掘り起こして新しいツーリズムをつくり出したり、様々な学習の機会や雇用を創出したりしながら、地域経済の活性化を図るのが仕事です。具体的な実務としては、ツーリズムやガイド業に精通したプロフェッショナルとしての経験と、地域を包括する人的ネットワーク、及び業種や業界を越えた多様な人的ネットワークを駆使して人を繋いだり調整をしたり、いろんな要素を統合したり、事故やトラブルを未然に防ぐためのリスクコントロールを行いながら、ゴールに向かって事業全体を円滑に進めたり、一つにまとめ上げる仕事となります。
まとめると、大きくは『地域のやる気を引き出し、地域を元気にしていく仕事』。実務として『地域資源を活用してツアー商品を創り出す仕事』。日常的に『様々な案件や目的に応じて人と人を繋ぐ仕事。または交渉を行い、双方のマッチングを図ること。』それが地域コーディネーターという仕事です。
地域コーディネーターの役割と資質
地域社会は様々な人や価値観が入り交じる複線化した社会です。その中で業種やタイプの異なる人たちを繋いで行き、多様な関わりをもって地域を動かして行くのが地域コーディネーターの役割であり仕事です。この中で大切なことは主体者はあくまで地域であるということです。地域が主体性をもって動かなければ地域の持続可能な発展は望めないからです。よって、地域コーディネーターに求められる資質としては、パワーでグイグイ人を引っ張っていくタイプというよりは、地域に何度も何度も通い、対話を重ねながら、少しずつ信頼を掴んでいきながら地域の人たちのやる気を引き出したり、主体性を引き出すような、みんなの支持や協力を仰ぐタイプが相応しいといえます。また表に出ない裏方としての地道な活動を続ける志も重要な資質の一つといえるでしょう。
また、地域活動はお金で解決できることもありますが、お金で解決できないことやお金で割り切れないこともたくさんあります。同様に、お金で動く人もいればお金で動かない人もいます。地位や名誉といった社会的ステータスで動く人もいれば、成長や変革、創造など、何かを追求したり成長することにやり甲斐を感じる人もいます。また、援助や仲間といった愛情志向で動く人もいれば、個人的な憧れや体験といった好奇心や知識欲を満たすために動く人もいたり、環境や健康、精神の安定性のために動く人もいます。人によって価値観はバラバラです。そうした様々な価値観をもった人たちを、どうやって動かしていくかが地域コーディネーターに託される役割であり仕事であるといえます。人間の体で例えると、意志の伝達物質であるシナプスのような動き。間を取り次ぎ意志を伝達するのが役割となります。
難しい仕事ですが、それゆえ多方面から必要とされる職域なのです。
ここからは私たちの実践を通した具体的なお話です。
これからの豊富や課題などを綴っています。
ケーススタディー1
無償サービスでフラットな人的ネットワークをつくる。
例えば現在私たちが行っている活動でいうと、移住相談やマスコミやメディアなどの取材サポート、及び瀬戸内国際芸術祭に関する地域サポートが地域コーディネート業務に当たりますが、実際これらの仕事はお金にならない場合も多いです。
しかしお金にならない仕事であっても、それを求めている人がいる限り、地域にとっては大切な事業です。では、なぜ儲からないのにこうした事業を行うのかというと、こうした無償サービスの中にこそ未来の扉を開く重要な鍵が含まれているのです。私たちがサービスを提供する範囲は一個人から、メディアやプレス関係者、企業や大学、団体といった様々な法人、加えて行政や各省庁といった政府機関まで広範囲に渡りますが、これらの仕事を通じて実に多様な人間関係のネットワークを形成できる機会を得ることができます。価値観やタイプ、ジャンルの異なる人たちとの出会いは学びの場であり、社会を知ることでもあり、何より楽しいものです。そして何より、そこで築いたフラットな人間関係、横の繋がりこそが私たちの財産であり、コーディネーターに求められるネットワーク力なのです。ビジネスの現場では得てしてお金で繋がる人間関係、または利害関係(ステークホルダー)の場合が多いですが、社会活動やボランタリー活動の現場は、お金に換えることのできない豊かな人間関係を形成できる場であり、社会教育の場であるのです。
業種や業界、世代やジャンル、地域を越えた豊かな人間関係を築くことは、人生をより豊かなものにする糧になると私たちは考えています。
ケーススタディー2
地域の問題や課題を解決し、あったらいい。をカタチにする。
今年私たちは瀬戸内国際芸術祭が行われる小豆島の中山地区で、芸術祭のディレクターである北川フラムさんより要請を受けてCAFE事業を行うことになりましたが、北川さんとの出会いをはじめ、アーティストや建築家など、国籍や地域、ジャンルを超えた様々な人たちとの出会いも、こうした私たちの日々の活動を通した人間関係の中から繋がり出してくるものです。まっ、それはおいといて、芸術祭がらみの案件でおっかなびっくり何度も地域に通いってるうちに、様々な事業アイデアが浮かんできました。例えば集落にはたくさんのお年寄りが暮らしていますが、山あいの中山地区には急な坂道が多いです。そこに暮らす車に乗れないおじいちゃんおばあちゃんは、毎日その坂道を歩いて買い物や病院へ行っています。お年寄りにとって毎日の食事の用意は大変な作業です。更に一人暮らしのお年寄りであれば一人での食事は味気ないと思っているかもしれないし、誰かがつくってくれるごはんを食べたいと思っているかもしれない。そこで出てきたアイデアは、食事を届けるケータリングサービスです。ケータリングをしたら短い時間かもしれませんが、お年寄りとの交流や会話が生まれます。お弁当を届けてくれることを楽しみに待っていてくれる人が出てくるかもしれません。誰かが家に来てくれるのは楽しいですし、暮らしに張りが出てくるかもしれません。食事の状況を見て体の調子も確認できると思います。一人暮らしのお年寄りの場合は、安否の問題も解決できるかもしれません。加えてこのサービスを喜んでくれる人が増えたら、地域に新しい雇用が生まる可能性があります。『食』を通して地域が繋がりはじめれば、必然的にありがとうの輪が広がり笑顔が増える可能性があります。このように芸術祭に関する活動は全て無償労働ですが、結果として新しいアイデアやビジネスチャンスを得ることができます。一見無駄だと思う行動や活動の中にこそ、未来に向けた新しい種やヒントが隠されているのです。地域活動を行うことは、一方で地域の様々な問題や課題に直面することに繋がりますが、こうした問題を解決し持続可能な地域社会の発展を促すのが、私たちNPOやコーディネーターに課せられた宿題でもあり求められる力なのです。
アクションプラン
課題と展望・ビジョンなど
私たちが行うCAFE(こまめ食堂)には芸術祭のサポートの他に、3つのテーマがあります。
一つ目は地域の持続可能な発展。二つ目は休耕地が進む棚田の活用。三つ目はガイドの安定雇用と拡大です。
1.地域の持続可能な発展
一つ目は地域社会の持続的な発展のためです。芸術祭は3ヶ月で終了しますがその後どうやって地域を元気にしていくか、持続可能な発展を促して行くかが私たちの大きなテーマです。上の例はそれに向けた一つの解決策です。
2.棚田(休耕地)の活用
二つ目は休耕地が増えつつある棚田の維持管理及び景観の保持と活用です。
少子高齢化が進む過疎の島では、もはや地域だけで解決することが不可能なことがたくさんあります。田舎は都市で暮らす人たちの『手やアイデア』といった力を必要としています。逆に都市生活者は田舎や自然の環境を必要としています。この両者の想いをどうやって結び繋いでいくか、交流するための仕組みをどのように構築していくかが二つ目のテーマであり、地域コーディネーターとしての私たちのミッションです。
休耕田についての活性化プランとして、全国で棚田オーナー制度が広がりましたが、結果的にあまりうまくいっている地域はないようです。その理由は制度の偏りだと思います。お金は集まっても、棚田を管理する地域の人たちがおもしろくないのです。楽しくないものはどんなものでもやっぱり続きません。農作業は孤独な作業が多いですし、田んぼを維持管理するのは大変な手間がかかります。理屈ではわかっていても連絡が無かったり、顔が見えないと人間はだんだん不安になってくる生き物です。すると途中で誰のためにやってるのかわからなくなってくるし、だんだん嫌になってくる。こんな割に合わないことやってられるか!という具合です。
問題は双方の顔が見えないこと。お客様やエンドユーザーの声が生産者に届かないことです。制度の欠陥があるとすれば、維持管理を行う地域のおっちゃんおばちゃんにモチベーションがからないことです。モチベーションがかからない仕事はいつか続かなくなります。つまり、お客さんと生産者双方の顔が見える仕組み。評価が付く仕組みが必要なのです。そこで、名水を使った地域ブランドとして農作物を売り出します。加えて作り手の顔写真入りで農作物を売り出します。パーソナルネームというビジネスの手法を用いて作り手のおっちゃんおばちゃんをスターにします。食べておいしかったらお客様から評価が付きます。するとモチベーションがかかって楽しくなってきます。更に生産者同士で競争原理が生まれれば品質はどんどん向上します。CAFEで販売してもいいし、または買い取りすることでお金になるなら、がんばってつくったるで!なんて人も現れるかもしれません。加えてネットを活用して朝採り野菜を販売してもおもしろいと思います。『徳島のいろどり』みたいなハッスルばあちゃんを生み出す楽しい経済の仕組みが必要だと思うのです。できるかどうかやってみなければわかりませんが、挑戦に値する価値があると思っています。
3.ガイドの安定雇用と拡大
そして三つ目は自分たちの収益確保とガイドの安定雇用と拡大です。現在私たち行っているガイド事業は夏のシーカヤックツアーがツアー事業収益の約半数を占めていますが、シーズン性が多きく、観光客の少ない冬場をどうするかがガイド事業における業界全体の大きな課題になっています。これは島に限らず瀬戸内や四国全体の大きな課題でもあるのですが、冬場の観光資源、またツーリズムをどうやってつくり出すかが四国エリアにおける大きなテーマです。言い方を変えれば新しいビジネスモデルを作り出せるかが地域の大きなテーマです。観光資源が無いからお客さんが来ないのか。それともお客さんが来ないから観光資源をつくらないのか。ニワトリとタマゴの話になりますが、この問題を打開するためには先に観光資源をつくり出す。要するにタマゴを暖めて孵化させて、愛情込めて一生懸命育てる。それが早道じゃないかと思います。もしかしたら人なつっこいコッコちゃんが人気者になったら人がわ~っと見に来てくれるかもしれない・・・。話がそれましたが、里山の自然環境、または地域資源を利用して、ツアーメニューを増やす。それによって冬場の仕事をつくりガイドの通年雇用を行う。そこが完成しないとガイドはずっとアルバイト的な季節労働を強いられてしまいます。これでは業界全体にいい人材が集まりませんし盛り上がりません。受け皿のキャパが広がらないと結果的に笑顔が増えないのです。
過疎を楽しい場所に変える
このように、少子高齢化が進む過疎の地域には課題が山積しています。しかし今後最も深刻な状況に陥るのは都市だと経済アナリストたちは言います。小豆島の高齢化率は東京と比較して20年先を行っていますが、逆に20年後の東京は現在の島の人口構造と同じ比率になります。都市が高齢化した時どうなるのか。高齢化することは働かない人が増えることです。過疎の問題を他人事と捉えるか、自分達の地域にもいずれ起こりうる問題として自分事として捉えるか。少なからずこうした問題を伝え、みんなで解決の方法を試行錯誤するきっかけをつくるのも地域コーディネーターに課せられた役割の一つだと思います。
